はじめに
SNSやWEB広告が一般化した今、飲食店も“広告動画”を作る機会が増えてきました。
しかし、単に「安い」「美味しい」「お得」といった“広告的メッセージ”を並べるだけの動画は、見飽きられてしまうことも多く、逆に敬遠される要因にもなりかねません。
これからの時代に必要なのは、情報ではなく「価値」を届ける動画です。
本記事では、広告色を排除しながらもファンを増やし、来店につなげる動画づくりの考え方と実例をご紹介します。
1. 情報と価値は違う
「〇〇円引き」「期間限定」「コスパ最強」などの訴求は、確かに目を引きます。
しかし、それはあくまで“短期的な集客”であり、継続的なファン獲得にはつながりにくい側面も。
一方、「この店だから来たい」と思わせるのは、“その場の体験”や“店の想い”といった“価値”の部分です。
2. 「誰に、どんな体験を届けたいか」を明確にする
動画を作るときは、以下のような問いからスタートしましょう:
– うちの店の“常連”は、何を楽しみに来ている?
– 提供しているのは、料理だけ?それとも空間、会話、安心感…?
– 初めて来る人に伝えたい“感情”は何?
このように、ターゲットに届けたい“感情や空気”を起点に動画構成を考えることで、“伝わる映像”になります。
3. 価値を伝える構成例
例:小さなカフェの紹介動画
1. 喧騒から離れた街角の静かな映像で始まる(世界観)
2. 開店準備をするスタッフの様子(人の温かさ)
3. コーヒーが注がれる音、湯気、光(五感への訴求)
4. 客席で静かに読書するお客様(過ごし方の提案)
5. ナレーションや字幕で「今日も、ひと息つける場所を」
このような構成は、押し売り感がなく、見た人の中に“このお店に行ってみたい”という自然な気持ちを育てます。
4. 「空気」を伝える撮影・編集テクニック
– 余白を意識した構図(落ち着き・余裕)
– 音の演出(BGMだけでなく、環境音・無音も活用)
– スローモーション・自然光・手ブレを活かした演出
“編集で伝える”というより、“編集しすぎない”ことが大切です。
視聴者に“考えさせる間”を残すことで、映像の余韻が“価値”として記憶されます。
5. 成功事例:広告ゼロでもファンが増えた店舗
都内のビストロでは、あえて「広告らしさ」をなくした動画を発信。
料理名も価格も出さず、ただ料理が出てくるまでの空間と音にこだわり抜いた動画を週1本ペースで投稿。
結果的に「行ってみたい」というコメントや保存が増え、リピーターが約1.5倍に。
広告を出さなくても、人を惹きつける動画には、“価値を伝える力”があるのです。
まとめ
今の時代、情報はあふれています。
そんな中でお客様が“選ぶ理由”になるのは、「共感」や「感動」といった感情的価値です。
広告ではなく、“あなたの店の空気”や“体験”を届ける動画づくりを心がけることで、自然とファンが増え、来店という結果にもつながっていきます。